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【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第30章 Final Stage Ⅲ 〜宿命の斬光、桜は血に咲く〜






(早くしないと社長が!)

猟犬に保護された時に見た未来の光景が脳に焼き付く。
見た未来を変えられることに香織はパラレルワールドに行った際に分かった。

(太宰君ならこんな時……)

香織は首を横に振る。

(ここには太宰君がいない。それに太宰君ならどうすればいいんだろうって考えると私には到底思い付かないことを出す)

何が出来て何が出来ないとかは個人で違う。

(私は私なりに考えて、みんなを助ける!)

これ以上、探偵社のみんなが傷付く姿を見たくなかった香織は前を見つめる。

「危ない!!」

美鈴の鋭い声が響くと同時に、地面が轟音と共に揺れた。
建物のガラスが悲鳴のように軋み、地面に亀裂が走る。
香織はとっさに身を低くし、美鈴が背後から彼女を庇うように覆いかぶさる。

「一体……何が……?」

香織は揺れる地面に手をつきながら顔を上げる。
空は昼だというのに不穏に曇り、何かが−−−異常な何かが近づいているのを感じさせた。

「分からないわ。でも、『何か』が起こったのよ」

美鈴は冷静に立ち上がる。
だが、美鈴の額に赤い血がじわりと滲んでいた。

「美鈴ちゃん!血が!!」

香織が青ざめて駆け寄る。
だが、美鈴は顔をしかめながらも淡々と笑みを浮かべる。

「私は大丈夫よ、それよりも−−−」

美鈴の言葉が途切れ、二人の視線が前方に移る。

「嘘……空港が……崩壊してる!!」

瓦礫が降り積もり、滑走路がもはや地形として原形を留めていない。
空には黒煙が上がり、そこに確かに何か−−−異能による『異常』が存在していた。


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