【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第29章 Final Stage Ⅱ 信義にそむく遊戯
「お腹一杯かい?まだまだあるよ〜〜!すべての階層で重武装の警備兵が巡回、警告なしで発砲してくる。彼等の武器にも遺伝子認証が使われていて、奪って使用すれば警報が鳴る。いやー流石は私の企画したゲーム。百万回死んでも脱出は無理だね!」
「あ、一番悪い情報を伝え忘れてた!不審者が見つかると即、隔壁が閉鎖。十秒後に注水が開始される。ご丁寧にも普通の水ではなく、同位体元素で構成された『重水』だ。普通の水より比重が重いため、潜って中を泳げない。おまけに人体に有害で、多量に飲むと死ぬ」
ゴーゴリはステッキを床に突き立て、金属音を響かせた。
「‥‥つまり警備に見つかれば、閉じ込められ、魚すら溺れる水を注がれ、苦悶と後悔の中でもがき死ぬ」
フョードルは冷たく笑いながら、指で針痕をそっと押さえた。
「勿論!30分経っても注射した毒が君達を殺す!どう?泣きたくなってきた?」
ゴーゴリが両手を広げると、太宰とフョードルは同時に鼻で笑った。
「さて!最後は良い知らせだ!死地に赴く君達に敬意をし、このゴーゴリから『気まぐれプレゼント』がある!助手!例のものを!」
「はーい」
「誰が助手だ」
シグマは呆れ混じりに返すが、ディアナはまったく気にせず無邪気に笑った。
シグマとディアナは無言で二歩前に出て、二つずつ手に持って差し出す。