【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第29章 Final Stage Ⅱ 信義にそむく遊戯
「痛っっったあああ〜〜〜!」
床に思い切り背中を打った太宰は、額を押さえながら呻き声をあげる。
その横で、ゴーゴリはマントを翻しながら楽しげに高笑いを響かせた。
「ハハハーハ!箱抜け技術大成功だ!」
言いながらゴーゴリは勢いよくステッキを地面に叩きつけ、小さく火花が散る。
「推論通り!『触れたあらゆる異能を無効化する』−−−逆を言えば転送局面にさえ触れなければ空間接続は可能ということだ!はい助手!大拍手!」
ゴーゴリは横にいるシグマとディアナに向かって大仰に手を広げ、指先をパチパチと鳴らして拍手を強要する。
「ゴー君てんさーい!」
ディアナはノリノリで拍手をする。
「誰が助手だ。そんなことより、二人に状況を説明しなくていいのか?」
シグマは不満気に言った。
「ああ〜大丈夫大丈夫!だって−−−」
「‥‥なるほどね」
太宰は立ち上がりながら、痛む腰をさする。
「そういう事ですか」
一歩前に出たフョードルは口元に指を当て、目を細めて小さく笑った。
「ほらね?」
ゴーゴリは誇らしげにくるくると回り、シグマに向かってウィンクする。
「‥‥」
「空間接続の異能者ゴーゴリ」
「異能で僕達を監房から出した。目的は何です?」
ゴーゴリは大げさに胸に手を当て、ステッキを床に叩きつけて声を張り上げる。
「あああ我が親友!逢いたかったよ!君の無事を知れて胸が張り裂けんばかりだ!私が何故来たかって?そんなもの決まっているだろう?」
そして次の瞬間、顔を近づけ、目を爛々と輝かせて笑みを深める。
「君をブチ殺す為だよ」
「ワァオ」
わざとっぽく太宰が驚いた声を出す。