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【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第28章 Final Stage Ⅰ 〜空港バトル!東雲姉妹VS条野〜






吹き荒れる風の中、美鈴は静かに目を閉じた。
空港内を漂う鉄と血の匂い。
その中心にいるのは、吸血種と化した条野採菊。
赤黒く濁った目が、獲物を狙う獣のように光っていた。
条野が地を蹴り、コンクリートが爆ぜ、高速で突進する。
その爪が美鈴に迫った瞬間、美鈴は唱える。

「咲きなさい、『桜花爛漫・紅絶華』!」

瞬間、空港内に薄紅の光が降った。
爆ぜるように咲き誇る桜の花弁が空気を裂き、刃のように条野を切り裂く。

「ギィィアアアアッ……!!」

だが条野は止まらない。
血を撒き散らしながら突進し、美鈴の桜を貫く。

「美鈴姉っ、下がって!!」

柚鈴の身体が雷鳴と共に瞬間加速。
地を蹴ると同時に、足元に雷が爆ぜた。
吸血種の眼前に、一瞬で現れた柚鈴は、そのまま『電閃脚』−−−足に雷を集中させて一瞬で踏み込み、超速のローキックや飛び蹴りを放つ。
重く響く衝撃が吸血種の腹部に命中した瞬間、雷撃が爆ぜ、肉体が内側から軋む。

「——痺れろ、『雷鳴ノ檻・雷鎖掌破』!」

今度は背後から一気に回り込み、掌底を突き出す。
電撃を伴った打撃が脊椎を貫き、敵の動きを完全に封じる。

「そしてもう一発!『黄昏双奏』」

雷銃をクロスし、全身に電力を集める。
『迅雷交差』——雷と共に突進し、爆雷の衝撃波で吸血種を吹き飛ばす。
雷の轟音が夜空を裂いた。
空港の照明がすべて吹き飛ぶほどの電圧が、条野の身体を直撃。
その肉体が震え、痙攣し、空気が焦げる匂いが漂う。

(すごい、二人共、息がピッタリ)

流石、東雲姉妹だ。
美鈴の桜と柚鈴の雷を使い、自身を速くさせて条野に休む暇を与えさせない。
桜を防御として、雷の異能を前線にすればもっといいだろう。

「があああああああッ……!!」

だが、それでも動きを止めない条野。
異能によって強化された肉体は常識を逸し、雷にも怯まない。

「ッなんで、まだ!」

「吸血種の力よ。異能だけじゃない、肉体そのものが化け物!」

美鈴は血を拭いながら立ち上がり、その視線に一切の迷いはなかった。

「だからこそ……咲かせる。すべてを断つ、この一撃を!」

桜吹雪が渦を巻く。
空中を舞う花弁が一斉に美鈴を中心に集まり、巨大な刃となる。

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