【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第28章 Final Stage Ⅰ 〜空港バトル!東雲姉妹VS条野〜
「香織、これを使いなさい!」
美鈴に投げ渡されたのは拳銃の形をした光線銃。
「開発部隊に作らせた光線銃よ、弾じゃ当たりずらいでしょ」
「ありがとう、美鈴ちゃん」
戸惑いながらも香織は銃で応戦する。
だが条野の圧倒的な身体能力と異能が上回る。
防御は崩され、吹き飛ばされ、息も絶え絶えになる美鈴と香織。
「美鈴姉!今助ける!」
割れるような声と共に、空から舞い降りた影。
猟犬候補
東雲柚鈴
異能力---雷鳴ノ檻
柚鈴−−−東雲美鈴の妹にして、猟犬候補。
雷を操るその姿は、姉とは対照的に凛とした光を放つ。
「……あんた‥‥何でここに‥‥」
美鈴は片膝をつき、肩で息をしながら振り返る。
額の汗を袖で拭う。
「うーん、面白そうだから」
柚鈴は肩をすくめて無邪気に笑っている。
「莫迦言わないの!あんたはまだ17でしょう!?逃げなさい!」
美鈴は立ち上がると、苛立つように手を振って妹を押しやろうとする。
「えー私、来年で選挙権持つんだよ、立派な大人じゃん」
柚鈴は頬を膨らませて口を尖らせる。
「大体、お父さん達は知っているの!?」
「知る訳ないじゃん、二人共、テロ対処に駆り出されてここ一週間見てないし」
柚鈴は肩越しに小さく笑い、指で頬を掻く。
「二人共!今は言い争いはダメ!!」
香織が声を荒げて制止する。
「ほら、私達が騒ぐから条野先輩が会話が終わるまでご丁寧に待ってくれてる!」
「猟犬のくせに優しいのね、もはやギャプ萌えだわ」
「この姉妹、余裕だな」
「さてと、おふざけはここまでにして---」
「やるわよ、柚鈴」
東雲美鈴と柚鈴。
二人の姉妹が背中を預け合い、牙を剥く吸血種・条野に立ち向かう。
「あんたはそこで大人しくしてなさい」
美鈴が振り返りざまに制止すると、香織は頷いた。
「うん、分かった」