【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第4章 動き出す影
「ボクは80年前に死んだ。でも、ここ10年くらい前かな、ボクの墓場に墓荒らしが来たんだ。で、その墓荒らしを雇ったのが柳瀬和雄。どうやってやったのか分からないけど、ボクの身体を複合させて、実験体の子供の身体に血と肉、ボクの粉骨を食べさせた。その結果生まれたのがボク」
(父さんが、唯斗を作ったってこと?)
「今のボクがいるのはあの日、香織がボクを異能生命体にしてくれたお陰かな」
「あの日とは何だい?」
太宰が唯斗に聞く。
「ボクが異能生命体になった日さ、ボクがいた研究所に侵入者がやって来て研究所は崩壊した。死にかけたボクを香織は自分の異能生命体として、命を失わずに済んだ」
(あれは‥‥)
辺りが火の海になっている記憶がある。
もしかしたらそれは唯斗が言っていたことかもしれない。
「私に異能があるって言ってたけどどんな異能なの?」
「ボクも詳しいことは分からないけど攻防系ではないのは確かだね」
和雄からは異能について何も聞かされていない。
こんなに酷い人だとは思わなかった。