【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第28章 Final Stage Ⅰ 〜空港バトル!東雲姉妹VS条野〜
「ですがそれだと業務のほうが−−」
構成員がいないとなると業務が回らない。
美鈴はそれでも構わない。
「私一人でやるわ、あなたも持ち場に戻って」
「それなら私もやります!美鈴様に何かあれば中也様が悲しみます!!」
あまりの必死さに美鈴はすぐに折れる。
「それもそうね、じゃあお願い出来る?」
「はい‥‥あの、聞いてもいいですか?」
聞きづらそうに梨鈴が美鈴に視線を向ける。
美鈴は書類から顔を上げずに柚鈴に聞き返す。
「なに?」
「今回のテロ、美鈴様は探偵社がやったものだと思いますか?」
「何よ、突然」
「‥‥私は探偵社とは関わりがありませんが悪い噂は聞いたことがありません。社会に貢献していますし、そんな人達が急にテロを起こすものかと疑問に思いまして」
美鈴はようやく書類から顔を上げてきっぱりと断言する。
「そうねぇ、探偵社がテロを起こすなんてあり得ないわ」
「では、何者かが陥れたということに?」
「その説が大きいわね」
それらを踏まえて梨鈴は探偵社が無実だということを知り、探偵社関連の報告を美鈴に伝えようと思った。
「それと、武装探偵社が空港にいるという情報が−−−」
言い終わる前に美鈴が立ち上がる。
「梨鈴、護衛班を頼んだわ。私は空港に行ってくる」
「え、え!?お待ち下さい!吸血種がいるかもしれないのですよ!」
「ここでちんたらしてても何も変わらないわ、事件の鍵を握るのは探偵社。マフィアだけでなく、一般人にも被害が出ている。それに、この状態が続くと私の仕事量が増える」
(鬱憤ばらしに丁度いいわ)
「最後は私情じゃないですか!」
「とりあえず、後は任せたわよ」
技術開発部隊に開発された瞬間移動装置−−『転移石』を地面に叩きつけて、美鈴の姿が消える。
「行っちゃった‥‥」