【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第28章 Final Stage Ⅰ 〜空港バトル!東雲姉妹VS条野〜
マフィアの一室には準幹部の美鈴と美鈴に似た顔をした薄い紫髪の少女が話をしている。
美鈴は部下である少女に最近の調子を聞く。
ポートマフィア・東雲準幹部補佐
梨鈴
異能力−−花冠
「梨鈴、マフィアは慣れた?」
「ええ、少し---いや、かなり刺激的なところですね」
梨鈴は美鈴のクローンだ。
技術開発部隊の星野風花の異能力によって数年の年月をかけて作られた存在だ。
ここ最近完成して、中也の派閥に入り、美鈴の部下として働いている。
(ほんと、近くで見ると私によく似てる。何で風花は私のクローンを作ったのか分からないわ)
心当たりがあるとすればスイスに行く前に優秀な部下が欲しいと風花の前で零したことがある。
(あの時はかなり酔っていたし、間に受けたのかしら)
そう思っていると梨鈴が書類を差し出して来る。
世間話はここまでにして、二人は本題に入るった。
「こちらが現時点での護衛班の行方不明者一覧です」
渡された書類に目を通し、美鈴は険しい顔をする。
「‥‥とうとうこちらまで被害が出てしまったのね」
任務で死んだ芥川の葬儀以来に現れた人間を喰らい、理性を失った『吸血種』と呼ばれる存在。
構成員の大半が行方不明になり、マフィア内では混乱状態だ。
(恐らく、感染源は芥川ね)
聞いた話によると芥川は遺体がなく、死んだことにされた。
葬儀から数日後、芥川の姿を見たという証言が複数寄せられていた。
(吸血種によって遊撃隊は壊滅状態‥‥頭の痛い話ね)
「いががいたしましょう?」
「残っている構成員には待機命令を、何処に紛れ混んでいるか分からないわ、決して誰とも関わらないように通達しておいて」