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【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第27章 𝕃𝕠𝕤𝕥 𝕋𝕚𝕞𝕖 〜刹那の奇跡と儚い懐慕〜






妹を処刑時間まで取り返すために芥川はマフィアの構成員達と戦った。
芥川の行く道を遮る障害を潜り抜け、ようやく妹の銀に会えたが彼女は自分の死を犠牲に芥川のマフィア襲撃を無かったことにするつもりだった。
そして、屋上での激戦、『白い死神』のこと中島敦との戦闘の末、芥川は敦に勝利。
敦を殺さず、芥川が屋上の扉に行こうとした時、拍手が聞こえる。

「おめでとう、おめでとう二人共。見事だった。船上の戦いに勝るとも劣らぬ名勝負だ」

黒外套をはためかせた長身の人影。
そこだけ空間が切り取られたかのように異質な空気を纏う、黒社会の支配者。

「太宰さん」

「黒衣の男!」

ポートマフィアの首領---太宰治が、静かな足取りで二人のほうへ歩いて行く。

「敦君、君はクビだ」

敦は驚きに一瞬目を見開き、すぐに閉じた。

「……はい」

「かわりに、外の世界で生きろ。世話をしてくれる人は用意した。光の世界に行け。鏡花ちゃんと共に」

「え!?」

敦が首だけを持ち上げて驚く。

「何のつもりだ、黒衣の男」

芥川はふらつきながらも、戦闘の構えを取る。

「貴様は今日、僕をこの地へと誘導したな?手紙を使い、銀を餌にして……だが僕を殺したいだけなら、より容易な道があった筈だ。何が狙いだ?今日のこの戦いの先に、貴様の目は何を見ている?」

「今日の戦い?違うよ、芥川君。今日じゃない。四年半前からずっとだ。君から妹を引き離したあの日から、すべての要素は今日この状況のために設計されていた。敦君に鍛錬もマフィアの勢力拡大も、全部」

「何だ、と……」

「『本』を知っているかい?」

不意に太宰が二人を見て尋ねる。







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