【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第27章 𝕃𝕠𝕤𝕥 𝕋𝕚𝕞𝕖 〜刹那の奇跡と儚い懐慕〜
「莫迦かお前!早くこの手を退けろ!死にてぇのか!!」
「やだね、このまま私とお空の旅をしてもらう」
「ざけんな!手前が死ぬのは問題ねぇ!俺を巻き添えにするな!」
「わーいバンジージャンプだ~( ・∀・)」
「手前巫山戯んじゃねぇ!お前、なんか策あるのかよ!?」
「あるけど殺さないって誓える?それなら助けるよ」
「何でも誓ってやるからどうにかしろ!」
「それじゃ、唯斗〜ヘルプ」
夕日の光がビルに当たって、影になっているお陰で唯斗の異能が使える。
香織と中也の姿が消え、二人は地面に着地していた。
「手前、影を操る異能者なのか」
「違う違う、あれは異能生命体の異能。私の異能は別にある」
「おい、待て、異能が二つあるってなるぞ」
「ま、そう捉えるよね。私は自由に影の異能は使えない、異能生命体自身の意思で影の異能が使えるから同じ身体に二つの異能が使えるって訳じゃない」
あくまで、香織は異能で唯斗を瀕死状態から異能生命体として死を免れさせたため、唯斗の異能を自在に操ることができない。
「あ、そろそろ行かないと」
「待て、俺のことを知っているようだが手前は誰だ?」
中也の言葉に香織は改めてこの世界は自分が知っている場所ではないと感じる。
建物の場所や構造は同じなのに大切な人が自分のことを知らないのは悲しくなる。
(知ってるよ、大切な人だから)
「如月香織。それじゃあね、中也君」