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【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第27章 𝕃𝕠𝕤𝕥 𝕋𝕚𝕞𝕖 〜刹那の奇跡と儚い懐慕〜






「行って、中也君の相手は私がする。だからあなたは太宰君のところに」

(このセリフ言ってみたかった!)

勇敢っぽく立ち回るかとは裏腹に、心の中では興奮している。

「大丈夫?相手は幹部だよ」

「正直言って大丈夫かは分からない。でも、どっちかは中也君の相手をしないと先に進めない。そうなればあなたが太宰君のところに行ったほうがいい」

「ありがとう」

「うん、頑張ってね」

香織は短刀を取り出し、中也に向かって刃を下ろす。
その隙にアナザー香織は前に進んだ。
中也は香織の身体に蹴りを入れて香織は体制を崩す。

(いっっったーーい!!)

「さっきの威勢はどうした?降参するなら今だぞ」

「降参はしない。私にはやることがあるから」

(いつもの中也君なら手加減してくれたのに!!この世界の中也君は紳士的じゃないし上から目線でむかつくし!)

「あなたを倒さないと終わらない、だから私はあなたを倒す。……って言いたかったけど私は中也君を倒せない。だからこうするしかない」

香織は中也の身体に力任せに抱きつく。
留まれきれなかった中也は廊下側面の窓ガラスを打ち破って、香織と一緒に落ちた。

「な!?手前!!」

「私との心中はいかが?」

中也は異能を使おうとするが香織の腕が中也の身体を包み込んでいるようなポーズなため、手が拘束されている状態だ。
この状況で言えることは一つ、異能が使えない。
数十秒経てば地面に打ち付けられる。



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