【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第27章 𝕃𝕠𝕤𝕥 𝕋𝕚𝕞𝕖 〜刹那の奇跡と儚い懐慕〜
アナザー香織の部屋に泊まらせてもらい、明日に向けて打ち合わせをする。
状況には似つかわしくない質問ゲームやマ◯オカートをやることになった。
「暇だし、ゲームしようよ」
「ゲーム?」
アナザー香織の提案に香織は首を傾げる。
「この部屋には誰も来ないし、いつも暇だったんだよね」
「別にいいけど……」
最初はマ◯オカートをやった。
あまりゲームをしない香織はレースを外れたり、コントロールが上手く出来なく、最下位のオンパレードだった。
一方、アナザー香織は手慣れている様子で一位を取っていた。
次に質問ゲームをやることになった。
「えーと、サイコロが五だから……」
香織はサイコロを振って、出た目の数だけ駒を前に進める。
駒を動かして、質問の内容を読む。
『付き合うなら頭脳明晰の人か、体術使いの人か』
「これ、完全に太宰君と中也君意識してない?」
「(*ノω・*)テヘ」
「『テヘ』じゃない!!」
そして、一日経った今日。
夕方になりかけた時間帯にマフィア内部で何かがあったのか騒がしくなっている。
ドア越しに聞こえて来る構成員がドタバタと廊下を走っている音や慌てている声が聞こえる。
それはしばらく続いて、数分後には静かになった。
「行こう」
アナザー香織がドアを開けて、廊下の様子を確認せずに堂々と出る。
同じ人物でも少し違うところがあるようだ。
太宰は屋上から身を投げて死ぬらく、作戦としては二人で説得するという単純なものだった。
警備に関しては侵入者が入って、そちらのほうに集中するためどさくさに紛れて屋上に行く算段だ。
「侵入者って誰か分かる?」
マフィアを襲撃する人なんて早々にいない。
余程の恨みがあるのだろう。