【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第4章 動き出す影
「何で今更香織の前に現れる?今まで通り『死んだフリ』をしたほうが都合が良かったはずだよね?」
「それはね、香織を迎えに来たんだよ。これからは私と一緒だ」
差し出された和雄の手を香織は掴もうとしなかった。
何も知らない私なら喜んで受け入れたのだろう。
しかし、今の和雄は正直言って怖い。
話を聞いていた唯斗は思わず笑ってしまう。
「こんな時に父親ずらか、怪しい父親に香織が付いていくわけないだろ」
「それもそうか、ではこうしよう。3日後、ここでまた私に付いていくか聞くとしよう、それまでにちゃんと考えるんだよ、香織。無論、一人で来るんだよ」
そう言って和雄は二人の前から姿が消える。
二人のいた空間が壊れ、辺りは学校の体育館内だった。
「‥‥」
「香織!」
太宰の声が聞こえ、振り返ると太宰だけではなく、中也もいた。
「一体何があったのだい?それに‥‥」
太宰の眼差しが唯斗に向けられる。
香織は和雄に会ったこと以外のことを太宰と中也に話した。
和雄と会ったことを話せば勿論、3日後に会うことも伝えなければならない。
そうなると、太宰と中也が付いてくるだろう。
向こうは香織一人を求めているため、下手にできない。