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【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第26章 猟犬との逃走劇の末






バタンとドアが閉まり、香織は緊張感から解放されてほっと息をつく。

(普通の部屋で過ごすなんて思わなかった)

香織は一応、テロリストの筈だ。
条野の言っていることが本当なら猟犬は勘違いしている。
香織の異能を利用して次のテロを起こさせると思い込んでいるのだ。
その前に香織を保護したのだろう。

(こんなのあんまりだよ)

探偵社は命を懸けてヨコハマの治安を守り、多くの人が助けられた。
なのにテロリストとなると手のひら返しをして批判する。
誰も探偵社の無実を信じない。

(これからどうなるんだろう)

保護されている身ならば殺されることはないだろう。
しかし香織の不安は募るばかりだった。
特に普通の生活と変わらず、時間が過ぎていった。
そして3日後、香織は動き出す。

(一番怪しいのは福地。でも、証拠がない)

ここに来た時に見た映像は未来予知。
『DEAD APPLE』や『共食い』も映像を見た。
それらはただの幻像ではなく、本当に起こっていた。
今回もあの光景がいつの日か起きると香織は確信している。

(私を保護するって言ってたけどそれも怪しい気がする)

戦闘部隊である猟犬が保護する理由なんて何処にもない。
危ない異能で使われてしまうことがまずいのならば異能特務課のほうで保護をされる筈なのだ。

(『殺人結社』の時、犯人は政府の人間だとするともしかして‥‥猟犬が絡んでる?)

保護をするのは建前で、本当は別の目的で香織を猟犬の元に連れて来たと考えてしまう。

(考え過ぎ‥‥なのかな。ひとまずここから出て探偵社の誰かと合流したほうがいい)

問題はどうやって出るかだ。
香織がいる部屋は五階。

(カーテンを使って窓から出る?)

映画あるあるでカーテンを使って窓から出るやつ。
大抵は失敗に終わるためこの案はすぐに消し去った。

(他に方法は‥‥)

香織はドアの方を見る。
やるか、やらないか、香織の選択はいかに…



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