【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第25章 悲劇なる日曜日
太宰に置いていかれた香織は探偵社に戻り、ホワイトボードに張られた写真をじっと見つめる。
五件目の殺人が起きる前に何か手を打たなければと思った香織は写真と睨めっこしている。
(殺人は四件、被害者の共通点は政府の人……恨みを持った者の犯行だとするとここまでする?)
政治関係だとあちこちから恨みを買われる。
民間人の前では綺麗に見せかけているが一部では裏金や税金をプライベートで使う者と言った汚れた一面がある。
しかし、怨恨による犯行だとしたらおかしな部分がある。
(恨みによる犯行なら殺せればいい話だ。でもこれは普通の殺し方じゃない、この写真は何か見せつけているように思える。それなら快楽犯?)
「私じゃ分からないや」
何かヒントになるものがないか机に置かれた資料を手に取って読み込む。
資料に書いているあるのは被害者達のスケジュールだった。
香織はあることに気付いた。
(直前にスケジュール変更がある。偶然にしては出来すぎている)
意図的に誰かがスケジュールを変更したに違いない。
問題は誰がやったかだ。
結論に辿りつくにはそう長くはかからなかった。
(……犯人は政府の人間だ。しかも複数)
一人だけではこれ程の殺人は出来ないだろう。
フョードルの次は政治の人間を相手にしないといけない。
「如月!!」
焦りを露わにした国木田が会議室のドアを開けて入って来る。
集中して考えていたせいかドアが開かれた際に香織はビクリとした。
「立てこもりだ!すぐにオフィスに来てくれ!!」
「はいっ!」
オフィスに入ると真剣な顔をした与謝野、賢治、鏡花、谷崎がパソコンを見ている。
何だろうと思いながら香織がパソコンを覗き込む。