【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第4章 動き出す影
「マスターはさ、どうやってErrorを人間に戻すの?」
青年の問に香織は黙ってしまう。
Errorを人間に戻す方法が分からない。
でも、殺す必要はないと香織は思った。
「それは‥‥分からないけど、その方法を探す」
「甘いね、そんなんだと1年−−いや、数十年かかるかもしれない」
「あなたは私のことを知ってるようだけど何なの?私の何が分かるの?」
「ボクは唯斗。君の騎士さ、キミの全てを知ってるって言ったら分かるかな?」
目の前にいる少年は何言ってるのだろう。
騎士?全てを知ってる?
それはつまり‥‥
「変質者?」
引き気味に香織が言うと唯斗は鳩に豆鉄砲を食らったような顔をする。
「はぁ!?普通に考えて異能生命体でしょうよ!」
「それならそうとはっきり言って−−え、異能生命体って言った?」
「私、異能ないんじゃないの!?」
「それがあるんだよなー」
ということは森が言っていたことはつまり、唯斗のことを指していることになる。
「じゃああの時、私がErrorに掴まれて記憶がないのは−−」
「うん、ボクが一時的に香織の身体を借りたから」