【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第25章 悲劇なる日曜日
「てことがあったんだけど、乱歩さんが社長に反対するなんて何かあるよね?」
「そうだねぇ」
会議をサボった太宰を探しに街に来たところで運がいいのかすぐに見つかった。
香織は会議の内容を太宰に話していた。
「いい加減、そのサボり癖を治したほうがいいと思う」
「……」
「敦君を見習って---って聞いてる?」
「香織、あそこの店に入ろう」
太宰の視線の先にはカフェがあった。
昼時が過ぎているため混んでいないように見える。
「殺人事件が起きているのにそんなことしていられないよ」
「いいから」
そそくさと店の中に入る太宰を香織は『ちょっと!』と言いながらも追いかける。
「コーヒーを頼んでくれるかい?」
「私をパシリに使わないでよ!」
「ごめんって、この借りはいつか返すよ」
(いつかって言う人は大体返さないパターンなんだよなぁ)
頼まれたら断れない性格な香織は結局、コーヒーを購入してしまった。
しかも入ったカフェは有名なチェーン店でコーヒーの値段が500円もした。
コーヒーを片手に太宰がいる席に行くが誰も座っていなかった。
「太宰君……いなくなってる」
500円も払わされた挙句、頼んだ人がいない。
(捨てるの勿体無いし、飲んでもいいよね)
席に座って一口飲む。
苦いが、深みがあってスーパーより美味しく感じた。
(これで500円は納得かも)
店内に流れるクラシックなBGMが流れている。
コーヒーだけじゃ物足りないと思った香織はデザートを頼むのであった。