• テキストサイズ

【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第23章 魔法使いの生還






「とうとう太宰の席を埋める気になったのですか?」

「いいや、太宰君の席は空けたままだ。『共食い』の前にエース君がフョードルに殺されてしまってね、中也君と紅葉君では手が回らない部分がある。そこで候補に上がったのが君だ」

(ああ、あの男か)

そんな人がいたな程度の感覚で美鈴は思い出す。
正直言って存在を忘れていた。

(エースが死に、太宰は抜けたしもう一人は地下にいる。動ける幹部はご主人と姐様しかいない。ならエースの席を早めに埋めた方がいいってことか)

美鈴は跪き、森の提案に応える。

「勿体無いお言葉ですが私は幹部になりません」

「おい、美鈴!手前ここを逃したらチャンスはないかもしれねぇんだぞ!」

美鈴の言葉に中也は反論する。

「私は幹部や昇進に興味がありません。それに幹部になればご主人の傍にいる時間が減りますし私がご主人の部下でいられるのが無くなります。幹部にはなりませんが精一杯御二方をサポートします」

「お主らしい答えじゃのう」

ほほと紅葉が笑い、中也は更に声を荒げる。

「ふざけるんじゃねぇ!」

「まあまあ、中也君」

森が仲裁に入るが状況はヒートアップする。

「ふざけてません、この際ですので言いますが私は組織に忠誠心を捧げているわけではありません。ご主人だけに忠誠心を捧げています。私が組織の命令を聞いているのはご主人が首領に忠誠をしているからです」

美鈴の発言は器が小さいマフィアの人間ならば敵に回すものだった。

「ご主人は何も分かっていません。首領、少しの間ご主人をお借りしていいですか?」

「ああ、いいよ」

「ありがとうございます♪」

中也の腕をぐいぐいと引っ張って部屋から出る。
二人が出て行った部屋には静寂が訪れる。
先にそれを破ったのは紅葉だ。

「美鈴の意思を中也に聞かせるようにわざと仕向けたのかえ?」

「彼女が中也君に対して異常な程執着をしているのは君も知っているだろう、しかし中也君が気付いていないのは美鈴君が可愛そうな気がしてね」




/ 309ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp