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【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第23章 魔法使いの生還





ポートマフィアの最上階にある首領の執務室。
そこには五大幹部の面子と美鈴がいた。

(最悪、外套野郎を追いかけてたら呼び出し食らった。でももう遠くに行ってるし探すのは無理ね)

心の中で不満を零した美鈴は目線を前に向ける。
窓の近くに小さなテーブルが置かれ、それを囲むように中也と紅葉、そして森がワインを飲んでいた。

「長い潜入任務お疲れ様、美鈴君。報告を聞かせてくれるかい?」

美鈴の任務は海外で起こっている『異能者狩り』についての調査だった。

「はい、お耳に入っていると思いますが異能者狩りを行っていると思われる組織が判明しました。その名前は『天魔信仰教団』通称、『天魔信教』。過激なカルト宗教組織で民間人の信者を使っては膨大な金を動かし、組織を大きくしています。全世界に根城を張り、『天魔信教』への勧誘をしているようです」

「神を崇拝しており、異能者を『神の成り損ない』という考えを持っています」

「異能者の排除ってことは一般人によって構成されているのか?」

中也の問いに美鈴が首を振る。

「それが違うのですよ、矛盾が生じますが異能者がいます。自分達は神のご加護があるからと言って異能者を排除しています」

「それで、その組織は壊滅できたのかね?」

森の問いに美鈴は首を振る。

「残念ながら出来ませんでした。スイスにある根城は壊滅させましたが、なんせ世界中のあちこちに根城を置いているため完全に潰し切ることは困難かと」

「ではいずれ、日本にも来るということかえ?」

「はい、そう遠くない未来には」

「それなら日本に来る前に教祖を潰してしまえばいいんじゃねぇか」

「私もご主人の考えに至りましたが教祖の情報が一切出て来ませんでした」

「情報操作は十八番のようだね」

報告は終わり、美鈴は部屋を出て行こうとするが森に引き止められる。
別件で話があるようだ。

「ところで美鈴君、幹部になる気はないかね?」

美鈴は心の何処かで昇進の話が来るだろうと思っていたためあまり驚かなかった。



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