【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第21章 複雑な関係と因果
香織がカフェのドアを勢いよく開けるとそこはフィッツジェラルドと太宰、異能特務課に銃を向けられたフョードルがいた。
フィッツジェラルドがここにいるのも驚いたが武装した男性が血を流しながら倒れているのを見た香織は状況を理解出来なく、立ち竦む。
そうしているうちにスーツを着たメガネを掛けた男性が口を開いた。
「妙な動きがあれば即射殺します」
内務省異能特務課参事官補佐・坂口安吾
異能力−− 堕落論
「‥‥あなたの記憶を見ました」
特務課に連行されたフョードルが香織の横を通ろうとした時、香織は冷静さを取り戻して口を開く。
「今でもお母さんのことを愛しているのですか?」
「ええ、愛していますよ」
フョードルは立ち止まってから香織の問に答える。
「それならどうして!?異能者のいない世界を作ろうとしているのならばそれはお母さんとの出逢いを否定することになるんですよ!!」
「分かっていますよ、ですがやらなければいけないのです。リリーの為にも」
その言葉を聞いた香織はフョードルには誰にも曲げられない強い意思を感じた。
フョードルは歩き出し、目の前から立ち去る。
「探偵屋、奴の異能が判るか?」
「‥‥いや」
太宰は首を横に振り、フョードルが去った方向を見つめていた。