【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第20章 探偵社、マフィア、そして鼠
瞬きをした瞬間、ついさっきまで戦っていた場所とは違う空間にディアナはいた。
(別の空間?)
「貴女は強すぎる。若姫がある程度戦えるレベルまで消耗してもらいます」
目の前にいる異様な雰囲気を纏った女性にディアナは警戒する。
(この人は誰、気配が把握しきれない)
「今のところ若姫が勝てる要素が一切ないですね、0%。だからここで苦しんでもらいます。大人気ありませんが」
瑠璃色の瞳を細めながらニコリと女性が微笑むが言っていることが物騒だ。
(動けない、存在感が私の神経全てを支配しているのか)
何をされるのか分からないディアナはすぐに反応出来るように神経を尖らせる。
「貴女、精神に余裕がありますね、ですから壊れて下さい」
女性がそう言うとディアナの身体は炎の球体に閉じ込められて熱い感覚を感じる。
「その球体の中は70000万度。それでもう異能は扱えませんね、どんなに優秀な異能を持っていてもそれを引き出すための思考力を奪えば無力」
(熱い熱い熱い熱い熱い熱い!!!)
今まで感じたことのない熱さにディアナは苦しむ。
70000万度の熱さならば皮膚が爛れて身体は原型を留めていないはずだがディアナの身体は原型を留めていた。
「安心してください。この世界から出ればここでの記憶は無くなります。ですが身体は覚えているかもしれませんね」