【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第20章 探偵社、マフィア、そして鼠
当時私が住んでいた小さな村は異能者に対して信仰心を持っていたところだった。
異能者は『神の贈り物』として崇拝されていた村では私だけが異能者だった。
異能者だって言われただけで何の異能力か分からなかった。
御神体として重宝されていた私はいつも暗い部屋に閉じ込められている事以外は何不自由なく過ごしていた。
「お前がこの村の異能者か、悪いが死んでもらう」
いつものように部屋で過ごしていたディアナは突然現れた複数の謎の男性達により殺されそうになる。
ディアナは殺されまいと防衛本能が働き、まだ扱いきれていない異能を使った。
しかしこれがいけなかったのだ。
男性達は液体になり、建物の壁、天井などのディアナが目に入るもの全てを液体にした。
「なに‥‥これ‥‥」
建物が液体になってディアナを囲うものがなくなる。
初めて外の景色を見たのはこの時だった。
一瞬にして村人を液体にさせ、村は崩壊状態になった。
何が起きているのか分からないディアナはただ呆然と見ていた。
「おや、生き残りがいるようですね」
背後から男性の声が聞こえる。
ディアナは振り向かなかった。
自分は目に入るものを液体にする異能だと思ったからだ。
「早く立ち去ったほうがいいよ、私は目に入るものを液体にする異能だから」
「いえ、僕は貴女を放っておけません。貴女、自殺する気でしょう?」
ディアナは黙る。
男性の言う通り、ディアナは自殺する気だった。
大勢を殺して村を崩壊までさせて罪悪感でいっぱいだからだ。
12歳のディアナに耐えられなかった。