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【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜

第4章 動き出す影






そして、一日経った今日。
時刻は深夜2時のくらほし学園に太宰、中也、香織の姿があった。

「二人とも、制服じゃないんだね」

「別に学びに行くわけでもないからな」

二人の服装は普段見慣れている学生服ではなく、マフィアにいる時に着ているコートを着ていた。
そんな姿を見た香織はやっぱりマフィアなんだなと呑気に思った。

「夜の学校って、幽霊出て来そうな感じがして怖いかも」

「それなら帰るかい?」

「ここまで来て引き返したくない。それに、二人がいるから頑張れる」

三人の視線が校門に注がれる。

「夜の学校だしどうやって入るの?」

当たり前だが校門は開かない。
すると、太宰は校門の横にある塀を指差す。

「え‥‥」

太宰と中也なら乗り越えられるかもしれないが香織の場合だと一筋縄ではいかないだろう。
身構えていると、中也が香織の身体を抱き寄せて、お姫様抱っこする。
中也自身の身体が浮いて、あっという間に塀を超えてしまった。

「身体が浮いたよね!?」

「嗚呼、俺の異能だからな」

「中也君の異能?」

中也に言われると納得がいくと同時に彼に異能があったのは驚きだ。

「俺の異能『汚れちまつた悲しみに』は触れたものの重力のベクトルと強さを操ることができる」

「ちなみに僕の異能は『人間失格』。触れた異能を無効化するものさ」

いつの間にか塀を乗り越えた太宰が付け加える。

「それにしても中也、君は僕の犬だろう!電子遊戯で負けたのだから!」

(なんの話?)


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