【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第19章 過ぎ去った時代
リーリヤを探してから数年が経とうとしていた。
フョードルは『死の家の鼠』の頭目になり、リーリヤの情報を集めた。
そしてようやく見つけた彼女の居場所は日本にあるヨコハマ。
どうやら如月彩愛という戸籍を作り、ポートマフィアの首領の娘として暮らしているようだ。
早速住んでいるという家に向かい、玄関前まで近付くと違和感を感じた。
無造作に開けられたドアから中を覗くと倒れた男性と血塗れになっているリーリヤの姿があった。
「リリー!」
フョードルはリーリヤの身体を抱きかかえた。
彼女は浅い呼吸をして、脈が弱い。
今から治療しても助かるかどうか怪しい。
ゆっくりとリーリヤが目を開けた。
「フェージャ?」
「喋らないで下さい」
リーリヤの状態を見たフョードルは確信した。
彼女についての情報を集めようとしたが全然出てこなかった。
魔人と呼ばれたフョードルが情報を集められないのはおかしい話だ。
情報系の異能者が妨害しているのは間違いないだろう。
各国の異能者を調べて殺しても一向に集まらない。
そんな日々を過ごしていたが突然、リーリヤの情報が集まってきたのだ。
今この時も何者かに仕組まれているのだろう。
それもフョードルと同等の頭脳の持ち主かそれ以上の者に。