【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第18章 魔人の策略
(あれは夢、あれは夢なんだよ)
昨日見た夢を自分に言い聞かせるように香織は探偵社のドアを開ける。
ドアを開けた先にある重い空気に香織は違和感を覚える。
「何かあったんですか?」
近くにいる国木田に香織は聞く。
「社長が襲われた。謎の症状で意識不明だ」
「え?でも、与謝野さんなら治せるんじゃ」
「それが治せんらしい」
(そんなことってある?)
夢のせいか今は太宰に会いたい。
室内を見回すが太宰の姿が見当たらない。
(嫌な予感がする)
「国木田さん、太宰君はどこに?」
冷や汗をかきながら香織は国木田に聞く。
「太宰なら社長が襲われた現場に行っていると思うが‥‥どうした?如月、顔色が悪いぞ」
(夢で見た場所は明らかに裏路地だった。もしかして−−)
香織は身体を震わせて、また国木田に聞く。
「もしかして‥‥社長が襲われたのは裏路地ではないですよね?」
(お願い!否定して!)
頼むから違ってほしいという思いを抱きながら香織は国木田を見つめる。
「何故それを知っている?」
首を傾げながら国木田を香織に問い返す。
それは肯定と捉えても十分な答えだった。
「っ!!」
バンと音を立てて、香織は部屋から出ようとする。
「おい!どうした!?」
尋常ではない香織に国木田は慌てる。
「太宰君が危険かもしれません!」
香織はそう言い、走って部屋から出る。