【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第18章 魔人の策略
ザワザワと野次馬が燃えている車を見る。
「凄い、野次馬だ。目立ち過ぎたねぇ」
「何の騒ぎですか!車が爆発したとの通報が‥‥」
通報を受けた警察の装いをした男性が森に駆け寄る。
「いやぁ、お巡りさんご心配なく。うちの子が車の燃料槽にオレンジジュースを混ぜただけです」
「はぁ?」
警察の男性は啞然とする。
「車さんにも飲ませてあげたかったと‥‥ねぇ、エリスちゃん?」
そんな訳ないだろという顔をしながらエリスは森を見る。
「はぁ‥‥事故ですか、ではお怪我はないのですね?」
「えぇ、この通りぴんぴんしています」
「それは困りましたね」
警察の男性はそう言うと森の腹部に刃物を刺す。
刺されたと思った森は男性の警察帽子を手で薙ぎ払う。
深く帽子が被られて顔が見えなかったが帽子を薙ぎ払ったお陰で男性の顔があらわになる。
「お前は‥‥!」
森は刺された腹部を手で抑えながら警察の装いをした男性−−フョードルについて知っているようでハッとする。
フョードルは急いで森の前から立ち去る。
「エリスちゃん!」
急いでエリスが逃げたフョードルを追いかけるも見失ってしまう。
「見失った」
「多すぎる野次馬も彼の仕込みか‥‥」
森は意識を失って倒れてしまう。