【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第18章 魔人の策略
太宰は福沢が倒れていた裏路地にいた。
「此処が社長が襲われた路地裏か……社長が最初に見た血溜まりだね」
太宰は腰をおろして地面を見る。
「謎の血溜まり、行き止まりからの攻撃、宙を踏んで歩く異能−−成る程ね、犯人が判った」
◆ ◆ ◆
エリスは宙に浮いて、森の服を掴みながら車から燃える炎を見下ろす。
「もう、さいあく」
「あ‥‥ありがとエリスちゃん。でも、く‥‥首」
「あっそ」
パッと掴んでいた服をエリスは離して、森は地面に落ちる。
「『ありがとう』なんて全然うれしくないもん。だってリンタロウがあたしを操って助けさせたんだし」
森は地面に落ちた衝撃で腰を痛めて、腰を擦りながらエリスに謝る。
「ごめんよう。でもエリスちゃんは私の異能だから」
「だからイヤなの!怒ったりイヤがるのもそうなるようにリンタロウが『セッテイ』してるからだもん!」
ガミガミとエリスが言っていると森の電話が鳴る。
「私だ」
「首領の読み通り、獲物が網に掛かりました」
電話の相手は芥川だった。
「強めに噛みついてやりなさい」
先程乗っていた車には遠隔爆破信号が付いていた。
芥川はそれを頼りに発信源の場所に向かう。
「‥‥流血痕?」
血溜まりを見つけた芥川は首を傾げる。
「死を‥‥死を‥‥異能者に死の眠りを」
芥川の前に仮面の男性が現れる。
「追われる兎が自ら顔を出すとはな、貴様が『異能者殺し』か」
「我が愛し君の復活の為、死の契約を執行する」
「『誰かの為に人を殺す』それが目的か?美しくないとは言わぬが−−力がなくば獣の遠吠えだ」
芥川の羅生門が男性を襲う。
「だが遅い」
男性は避けるが被っている仮面にひびが入る。
カラッと音を立てて、仮面が割れると素顔が見える。
「ほう、貴様が『異能者殺し』の正体か。組合の伊留満−−ホーソーン」