【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第18章 魔人の策略
アパートの部屋の前で黒蜥蜴がドアを破壊して中に入る。
「チッ、一足遅かったか」
「首領、隠れ家は蛻の殻です」
広津が森に電話する。
「ふむ、追い駆けっこは得意という訳か。まぁいい、いかなる脚自慢でも『夜』から永遠に逃げる事は出来ない」
「ねぇリンタロウ!お菓子屋さんまだ?」
「もう直ぐだよ、エリスちゃん。でもその前にもう一軒だけ」
「またお洋服屋さん?十五軒目よ?」
機嫌が悪いエリスを森が宥める。
「車で直ぐだから、着てくれたら私は死んでもいい!」
「なら死ねばいいのに。行けばいいんでしょ!」
エリスは車に乗り込む。
「その表情、いつ見ても最高だねぇ」
「‥‥首領」
「ん?あぁ何?」
「例の『罠』は手筈通りに?」
「あぁ、奴は直次の殺しをする。そこを狙おう」
電話を切った森は車に乗り込み、ドアを閉めた瞬間に車が爆発する。
爆発音が響き、宙に浮かんだ仮面の男性が燃え盛る炎を見下ろす。