【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第18章 魔人の策略
「社長が襲われたって本当ですか!?」
敦は混乱した様子で国木田に聞いた。
「ああ、一命は取り留めたが謎の症状で意識不明。与謝野女医でも治せんらしい」
敦と国木田が話しているところに聞き込みに行った太宰が帰ってきた。
「聞き込みをしてきたよ。ここ最近似た暗殺事件が頻発しているね、路地裏で異能者が夜襲を受けてる。既に何人か死者も出てるらしい」
「犯人の特徴は?」
「正体不明の異能を使う事と仮面を被っている事だけ」
「『仮面の暗殺者』か‥‥」
太宰の言葉を聞いた国木田が呟くように言う。
「尤も私達が走り回る前に犯人は死ぬかも知れないけどね」
「え?」
「敦君、街で『異能者殺し』が大活躍して一番困る組織は何処だと思う?」
「異能特務課ですか?」
「違う。その逆−−ポートマフィアだよ。『夜の管理者』たるポートマフィアの与り知らぬ暗殺は異能者所帯であるポートマフィアにしてみれば鼻先でナイフを振り回されるような屈辱行為だ、これでもしマフィア側に犠牲者でも出れば−−」
「マフィアの威光も落ちるという訳か、だが被害も出る前から動くか?」
「『常に先手が勝つ』……森さんの口癖だよ。あの人は絶対に動く、それにマフィアの網は深く広い。暗殺者が隠れ家にしそうな場所にも通じてる。今頃は隠れ家くらい突き止めている頃かもね」