【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第18章 魔人の策略
「「あ‥‥」」
街を歩いていると香織はフョードルと会う。
「お久しぶり‥‥じゃないですね、そんなに日は経っていませんし」
苦笑いをしながら香織は言う。
「ですね」
「これも何かの縁でしょう。近くのカフェに入りませんか?」
「あっ、いいですね」
今日は非番のため、仕事がない。
二人はカフェに入る。
「あれから貧血は良くなりました?」
「ええ、貴女のお陰で」
優雅に紅茶を飲んでいるフョードルに香織は思わず見惚れる。
「何か?」
「え?あっ、紳士的な人ですね、フェージャさんは」
「呼び捨てで構いません。貴女と仲良くなりたいので」
仲良くなりたいと言うフョードルにお世辞でも香織は嬉しかった。
「分かりました」
「紳士的と言っていましたが貴女に言われると嬉しいです」
「そ、そうですか?何処かの貴族でもおかしくありませんよ」
「実は僕、貴族に仕えていた時期がありまして−−」
フョードルが言っている途中で香織のスマホから電話が鳴る。
テーブルの横に置いてあるスマホに表示された名前を見ると太宰からだった。
スマホを取ろうとするが先にフョードルが香織のスマホを取る。
「え?」
「もしもし太宰君?」
「なっ!フョードル・ドストエフスキー!?何故香織の電話から!!」
電話越しに聞こえるのは珍しく焦る太宰の声だった。
(知り合いなのかな?)
「彼女は!?今、何処にいる!?」
「繁華街の近くにあるカフェです。あなたも一緒にどうです?」
切られたようでフョードルはやれやれと言った感じで香織にスマホを返す。
「あの、太宰君とは友達なんですか?」
「友達‥‥ではありませんね、知り合いです」
「そんなんですか」