【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第16章 DEAD APPLE
「生きとったかこの唐変木ども!!!!」
「皆無事だったんだ!」
「当然さ、私達は武装探偵社だよ?」
「はい!」
敦は太宰の言葉に頷き、鏡花と一緒に探偵社の皆のところへ歩み寄る。
「太宰君」
「香織‥‥」
珍しく怒ったような顔をした香織が太宰に近付く。
「ここに来る前に国木田さんに会って、太宰君が首謀者と一緒にいるって聞いたからびっくりした」
澁澤龍彦と一緒にいた太宰に香織は心配でならなかった。
香織の目の前でピンピンしている太宰の姿を見ると心の底からホッとする。
「‥‥それで?」
「‥‥」
香織は黙り込んで俯く。
「‥‥‥した」
「え?」
「心配した!!背後から刺されていたし死んじゃったらどうしよかって!!大体太宰君なら−−」
「待って、何でそんなこと知ってるの?」
ガミガミ言う香織の言葉を太宰は遮る。
「何でって‥‥映像で見たから」
「映像?」
「うん、谷崎君が異能でボコボコにされていた時に脳内に映像が流れたの。体感が無くてスクリーンに映されているようなものを見てる感じがした」
「それって‥‥」
「多分、異能だと思う」
太宰と香織が話していると与謝野の声が聞こえる。
「おーい、香織、太宰!行くよ!!」
「太宰君、行こう!」
香織は太宰の腕を掴んで与謝野達のところへ向かう。