【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第16章 DEAD APPLE
(助けて貰ってばかりの私は嫌だ!)
そう強く思った瞬間、香織の脳内に映像が流れてくる。
まるでスクリーンの映像を見ているような感じだ。
ぐったりと血を吐きながら倒れる谷崎、香織の後ろから谷崎の異能が襲いかかる。
映像は切り替わり、次は太宰が映っていた。
白い服を着た太宰は誰かに背後から刺されていたようで倒れている。
「‥‥!」
そこで映像は終わった。
太宰のことは気になるが今は目の前のことに集中する。
(さっき見たものと同じ場面だ)
香織は拳銃を握る手を強くする。
先程の映像は未来についてのものかもしれない。
(谷崎君が次に血を吐いた瞬間に私の背後に現れるはず)
確証はないが物は試しだ。
そして、その時はやってきた。
「ゲホッ」
谷崎は吐血して、香織は振り返る。
背後にいるであろう異能に向けて撃つ。
映像で見た通り、背後には異能が現れた。
銃弾は異能の額に付いている赤い結晶にヒットする。
それはパリンと音を立てて割れ、異能は谷崎の身体に戻って行くように消えた。
「如月さん」
その状況を見た谷崎はふらふらとした足取りで香織に近付く。
「異能?なのかな、これ」
「僕に聞かれましても‥‥」
「だよね〜」
谷崎と話していると爆発音が聞こえる。
「今度は何!?」
爆発音が聞こえた方角を二人は見る。
「あの先にあるのって、廃棄された高層建築物のところじゃない?」
「とりあえず行ってみましょう」
香織と谷崎は目的の場所へと足を動かす。