【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第16章 DEAD APPLE
人気のない、海に面した倉庫街。
そこに国木田と谷崎の姿があった。
「国木田さん、どう思います?」
「何がだ」
「連続自殺なんて、本当にあり得るんでしょうか?」
「何とも言えん。仮に精神操作の異能を受けたのだとしてもこれ程の強力な異能ともなれば必ず国際操作機関に情報があるはずだ」
「はぁ‥‥これから会う特務課の代理人からもう少し詳しい情報を貰えるといいんですが」
一つの倉庫に到着し、二人は足を止める。
国木田が腕時計を見る。
「うん、きっちりかっちり予定通りだ」
「国木田さん!」
谷崎の声に反応し、視線の先を見ると人が血を流して倒れていた。
国木田と谷崎は素早く拳銃を手にし、周囲を警戒しながらその人物に駆け寄る。
国木田は倒れている男性の首元に指を当て、生死を確認する。
「特務課の代理人だ。‥‥死んでいる」
「ええ!?」
国木田は遺体の傍らに落ちている何かに気付き、ハンカチを取り出して布越しにそれを拾いあげた。
「どうしました?」
「犯人の遺留物か?」
「林檎?」
国木田が持った林檎には刃物が刺さっていた。
「国木田さん、何で林檎なんです‥‥」
「俺が知るか」
林檎に刺さった刃物から果汁が一滴、滴り落ちた。