【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第16章 DEAD APPLE
「そんなの絶対にさせません!ナオミを置いて自殺なんて絶対に許しませんからね!」
ナオミが谷崎に強く抱き締め、谷崎は苦しそうにする。
「で、この件がうち等とどう関係してるんだい?妾等も異能力者だから気をつけよう、なんて話じゃないんだろ?」
「特務課からの捜査依頼です。この連続自殺に関連していると思われる男がヨコハマに潜入しているという情報を得て我々にその確保を依頼してきました。それがこの男です」
スクリーンに一人の男性が映し出される。
「澁澤龍彦、29歳。分かっているのは何らかの異能力者であることと、コレクターという通称だけです」
「‥‥」
「どうかした?」
呆然としている敦に鏡花が声をかける。
「‥‥いや、何でもない」
敦は苦笑を浮かべながら、手元の資料に目を落とす。
すると、福沢が一同へ向けて声をあげる。
「武装探偵社はこの依頼を受ける。この事件の直接の被害者は異能力者であり、探偵社員である諸君等の安全を守る為でもあるが−−それ以上に、この事件により大きな災いを社会にもたらす予兆を感じる。探偵社はこれより、総力を挙げ、この男の捜査を開始する」
福沢の一声により、探偵社員全員が立ち上がった。