【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第16章 DEAD APPLE
「つまり、不思議な霧が出現した後、各国の異能力者は自分の異能で死んだ‥‥ということだな」
「この霧に、なんらかの原因があるんですか?」
賢治の問に国木田が映像を切り替えつつ答える。
「確認されているだけでも、同様と思われる案件が128件。命を落とした異能力者は500人以上‥‥異能特務課は、この一連の事件を『異能力者連続自殺事件』と呼んでいる」
「自殺と言えば−−太宰の阿呆はどうした、敦?」
急な問いかけに驚きながら敦は苦笑いを浮かべて答える。
「新しい自殺法を思いついたのでパスだそうです」
「ああ!?あの唐変木が!!」
敦の返答に国木田が激怒している傍らで乱歩がふと何かに気付いたように呟く。
「そうか‥‥」
そしてどこからともなく金庫を取り出すと、駄菓子を仕舞い込む。
「何してるんですか?乱歩さん」
香織が乱歩に問いかける。
「ひーみーつー‥‥っと」
「その霧に触れると異能力者は皆自殺するってことですか?」