【第一章】世界の支配者篇 〜定められしサークリファイス〜
第16章 DEAD APPLE
「これは三年前に台湾の台北市街にあった監視カメラの映像です」
濃霧が映し出される。
しかし映像内の時刻かは四分後には霧が消え去っていた。
「見ての通り、濃霧が数分後という短時間で発生し、消失しています。ですが、これはただの異常気象ではありません。この霧が消失した後、不審な死体が発見されています。この死体です」
画面に映し出されたのは真っ黒に焦げた人型の死体。
「酷い‥‥」
スクリーンに映る焼死体の酷さを見て敦が呟く。
「国木田」
「はい」
「この人、異能力者だね」
「仰る通りです、乱歩さん。その界隈では高名な炎使いの異能力者でした」
国木田がリモコンを操作し、映像が切り替わる。
「これは一年前のシンガポール。矢張り濃い霧が発生。消失した直後に発見された変死体です」
全身にトランプのカードが磔の様にされている男性の死体が映る。
「彼は手札を操る異能力者で、腕利きの暗殺者でした」
更に今度は、氷柱によって串刺しされた女性の死体が映る。
「こちらは半年前のデトロイト。矢張り霧の後に発見された遺体です。お察しの通り、彼女は氷使いの異能力者でした」