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凜恋心【最遊記】

第16章 所有物


「だからね!三蔵、もし病み上がりでも気分転換になるって思ったら一緒に行こ?」
「……祭りか…」
「八戒も言ってたよ?お祭りをやるにはもってこいの時期だから、いろんなとこであるんだろうって!」
「…で、お前は怒ってたんじゃねぇのか?」
「……そりゃ物扱いされたもん、怒ってるよ!」
「じゃぁそんな相手誘ってんのはただのバカか?」
「そうじゃないもん!三蔵とお祭り行きたいだけだもん。」
「俺は人混みは『嫌いなのも知ってる!』……だったら」
「でも…お祭りって…良い思い出がないから…前の時には髪燃えちゃったし…それに変に酔っぱらうし…」
「あれは祭りじゃなくて、ただの催し物だろう、それに酔っぱらったのは自業自得だ。雅、お前が居た所じゃ祭り、なかったのか?」
「うん…正確にはあったんだけど、参加してなかった…」
「……準備しておけ…」
「じゃぁ!」
「その代わり、離れんなよ?」

そう言われ、報告に…と隣の部屋に向かっていく雅。

「タク…騒々しい…にしても…参加してなかった、か。させてもらえなかったんだろうな」

そんなことを考えていた。ふと気付けば、ちらほらと音も聞こえてくる。祭り囃子に、甲高い鐘の音。それに太鼓の音や陽気に笑う大人子供の入り交じった声。

「三蔵!!みんなも行くって!!」
「騒々しい!」
「あ…ごめん!ほら!行こ!」
「…ハァ…怒ってる相手と行くのか…」
「何かいった?」
「いや、何も」

そういって三蔵も一緒に扉を出た。そこにはにやにやと含みを得た笑みを浮かべる悟浄にかわりないにこやかな八戒、目をキラキラさせて屋台の話をしている悟空…皆揃っていた。

「病み上がりですが大丈夫ですか?」
「あぁ、問題ない」
「そりゃそうだよな…」
「何かいったか」
「いんや?」
「そういや悟浄?何か三蔵に言うことがあったんじゃありませんか?」
「断る」
「まだ何も言ってねぇだろうが!!」
「どうせろくなことじゃねぇ」
「まぁまぁ、たまには聞いてあげたらどうですか?」
「俺に得はあるか?」
「損得勘定だけじゃだめだぜ?三蔵」
「うるせぇ。」
「全く……たまには話くらい」
「さっさと話せ」
「……じゃぁ、僕は先に悟空と雅のところに行ってますね?」
「ハァ…」

ため息を吐きながらも、扉に凭れた三蔵。腕を組ながら悟浄の言葉を待った。
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