第16章 所有物
「あのさ、三蔵」
「さっさと話せ」
「俺、雅に告って良いか?」
「……なんだと?」
「三蔵の女だって知ってるし、雅の返事なんてずいぶん前に聞いてるのと同じなんよ。でも…」
「ほう…」
「でも、あの時にはマジだってしっかり言えなかったから。」
「言ってどうする」
「どうもしねぇ。」
「なら言う必要はあんのか」
「ある。俺がすっきりしてぇんだよ」
そういいきった悟浄。ふぅっと大きくため息を吐いた三蔵はうつむき加減のままゆっくりと答えた。
「好きにしろ」
「しっかりと聞けって!」
「聞いている。その上で好きにしろと言ってんだ。」
「余裕ぶってる?」
「……なんだと?」
うつむいていた三蔵が顔をあげた。
「テメェの心くらいテメェでどうにかしろって言ってんだよ」
「……あっそ」
「その代わり…」
その場を離れようとした悟浄の腕を掴み自身の背を預けていた扉に押さえつけた三蔵。そのまま胸ぐらを掴むと身長差のある悟浄を下から見上げた。