第15章 清く、やましく、大胆に……
「…ッッ?!これ…やだ……」
水を持って、急いで部屋に戻る。
「三蔵!食べちゃダメ!!」
「……ぁん?」
「…嘘…だって…」
「なんだ。毒でも入れてあったか?」
「あれ…美味しくない!!」
「そうか?」
「だって…お塩と間違えてお砂糖入れてた… !!」
「そうか」
「そうかって…」
「ま、旨かったからいいだろ」
「美味しいはずない…」
「いいんだよ、俺が旨かったって言ってんだろうが。それより水寄越せ」
「やっぱり後味悪い?」
「はぁ?雅が言ったんだろうが、粥食って薬飲めって……」
「…ッッ…そうだけど…」
俯いてなかなかグラスを渡せない雅。下から見上げて三蔵はクッと笑うと、親指で雅の唇をなぞった。
「それともなんだ、雅が飲ませてくれるっていうのか?」
「ば…ッ!!」
「だったら、それ、さっさと寄越せ」
そう悪態を吐きながらも三蔵の表情は柔らかかった。
「ところで、お前は食ったのか?」
「あ…まだ…」
「だったらまだ間に合うだろ、あいつ等んとこ戻って一緒に食ってこい。」
「それは…やだ…」
「ここにいたらまた悟浄達に色々言われるぞ…」
「いい…よ…」
そう答えながらも雅は三蔵の手を握りしめた。こんどは三蔵も振り払うことなく、逆に指を絡めている。
「風邪引いた時や、体調悪い時、一人じゃ心細いから…」
「俺をいくつだと思ってやがる…ケホ…」
「いくつになっても、だよ」
そっと雅は三蔵の額に手を添える。
「熱…上がってきたんじゃない?」
「…誰のせいだと思ってんだ…」
「私いたら休めないね…ごめん」
「…ッチ」
腕を引っ張りボスッと組み敷いた三蔵。
「さ…んぞ…ッ?」
「悪いな…熱のせいだ…」
「え…」
「安心しろ…キスはしねぇよ」
「……ッ」
瞬間的に寂しそうな顔をした雅の耳元に顔を埋めると三蔵はポツリと呟いた。