第15章 清く、やましく、大胆に……
「三蔵?宿…戻ろ?」
「何言ってやがる」
「だって…体しんどいでしょ?」
「これくらい…ケホ…」
「ほら」
そういって三蔵の背中を押して雅は帰っていった。そんな二人を見送りながら八戒と悟浄は口を開く。
「なぁ…三蔵が風邪って…八戒気付いてたか?」
「……いえ…残念ながら…」
「でも……あいつは見抜いたってことか…」
「僕らのがよっぽど三蔵と一緒にいるんですけど……」
「でも…まぁ、雅が付いてるならいいと思うけど…」
「そうですね」
「おーいって……あれ、三蔵と雅は?」
「宿に戻りました。」
「どうして?」
「三蔵、風邪みたいです。」
そう話してとりあえず夕食に向かった三人。食場で八戒にキュウリを渡されている悟浄に悟空は首をかしげた。
「なんで悟浄キュウリ?」
「ほら、河童の好物じゃないですか」
「あ、なるほど」
「だぁぁぁ!俺も酒飲みてぇ!!」
そんなこんなで楽しくも夕食をすませていた。
一方の宿では、雅は宿主に頼み、調理場を借りるとお粥を作っていた。良し!!と簡単に作り終えると三蔵のもとへと持っていく。
「お待たせ…三蔵」
「はぁ…んな事まで気ぃ使うな」
「だって…三蔵ごはん食べないと!…フ-フ-……はい!」
そういって匙を差し出す雅。天然的に悪気なくやっているため、三蔵も怒るに怒れなかった。
「…いい、粥くらい自分で食える」
「あ、ごめん…」
「…雅は…食わねぇのか…」
「あ、そうだね。持ってくる!まだお台所に少し残ってるから。お水もいるよね…」
そう言って小さめのどんぶりに入れてある粥を渡して雅は一旦台所に向かった。
「そうだ…味…薄くなかったかな…薄かったらお塩もってかないと…」
そう呟きながら残っているお粥を一口食べた時だ。