第14章 愛し、甘く、ほろ苦く…
一方の三蔵と雅。
「あ…の…三蔵?」
「なんだ」
「この部屋でも…お布団足りないよ?」
「何言ってやがる」
法衣を脱ぎ、どさりとベッドの縁に腰かけた三蔵。そう、雅は当然ながらもそうだろうと思っていた。
「……罰ゲーム…私?」
「なんの話だ」
「で…でも、野宿用の…」
「ふざけてんのか」
そういうとあからさまなため息を吐いた三蔵。前髪をクシャリとかき上げると両腕を膝に付き、前屈みになって雅を見つめた。
「俺と一緒が罰ゲームか?」
「…そうじゃなくて…ッッ…」
「どうした?」
「…服……」
「見慣れてんだろうが」
そう、宿に着けば必ず法衣は脱ぐ三蔵。細身のパンツにインナー…見慣れていると言えば見慣れていても、二人きりで見る事には見慣れてなどいなかった。
「雅?」
「……三蔵…私…お布団借りてくる…」
俯き加減に三蔵に話すも、当然の如くに呼び止められる。
「待て」
「…はい?」
「ちょっと…」
そういいながら指で『来い』の合図。三蔵の前まで行くと雅は下から見上げる三蔵と目があった。
「俺と一緒じゃ不満か?」
「別に…三蔵と同じ部屋が嫌だって言うんじゃなくて…」
「…ハァァ…そうじゃねぇよ…」
そういうと腕を引きベッドの上に転がすと、視点は逆転した。ベッドに組み敷く形となり、雅の顔の横には三蔵の掌がしっかりと付いている。縫い付けられたわけでも、押さえつけられているわけでもないにも関わらず、雅は身動きが取れなくなっていた。
「何度も言わせるな…俺と一緒じゃ不満か?雅…」
「……ッッ」
やっとその意味も解った雅は、さらりとかかる金髪に指を滑らした。