第14章 愛し、甘く、ほろ苦く…
「でも、本当に僕少し嬉しいんですよ?三蔵」
「なにがだ」
「雅が来てからと言うもの、あなたの空気がとても穏やかになって来てるんです。自覚、ありませんか?」
「そんなもんねぇな。」
「だったら良い機会なので教えておきますね?」
「……もし仮に変わってるとして…」
「はい?」
「雅は…あいつは本当に迷惑だ…」
「違うでしょう?愛してしまって守るものを失うことが怖くなったあなた自信が迷惑なんでしょう?」
「…ッッ……」
八戒の言葉の後におもむろにたばこを出して火をつけた三蔵。その姿をみて八戒は小さく笑った。
「図星だとタバコ吸う癖、かわりませんね」
「……八戒」
「なんです?」
「それ以上言うな」
「クスクス…わかりました」
そう返事をした八戒はどことなく嬉しそうに返していた。
次の日には街に着く。食事の前に宿を取りたい三蔵と、まずは食事!と張り切る悟空。
「全く…なんでそんなに飯なんだ…」
「まぁまぁ、腹が減ってはなんとやら、ですよ?」
「チッ…」
そういいながらも、結果的には三蔵が折れる形になるのがいつものパターンだった。
「わーい!!めーし!めーし!!」
「うるせぇよ」
「三蔵?眉間にシワ…よってる」
「……誰のせいだ…」
「私のせいじゃないと思うけど?」
「……はぁ」
あからさまなため息を吐く三蔵。目の前に積み上げられていくからの皿を見てほほえましくも笑っている一行。
「ぷっはぁー!!食った食った!!」
「ひっさしぶりにゆっくり食ったなぁ…」
「そうですね!」
そうワイワイ話しながら、時間が過ぎるのを感じていた一行。そろそろ宿を取りに行こうと向かった。
「え……ベッドが足りない?」
「あぁ、すまないねぇ」
「おい主人、結局いくつあるんだ」
「シングルが一部屋にダブルが一部屋で計三つならベッドはあるんだが…」
「それで良い。」
「ちょ…!三蔵!!それじゃぁ明らかに足りないじゃないですか!!」
「俺はベッドを使う。当然だ。」
そういいながらもカードを出す。