第13章 赤きリコリス
涙を堪えながら八戒に連れられながらも雅は皆の元に向かっていった。しかし、そこには翠嵐が三蔵相手に歯向かっていた。
「姉ちゃんを返せ!」
「ッチ…」
「三蔵……」
「…!」
翠嵐の動きも何かに囚われてしまったかのように雅の三蔵を呼ぶ声で一瞬にして止まってしまった。
「翠嵐くん」
「……だって…おかしいじゃんか!!」
「翠嵐くん…」
「天人は居なくなったんだろ!なのにじゃぁ…なんで姉ちゃんが死んじゃうんだよ!!」
「それは私にも解らないよ。でも…白明さんが翠嵐くんとまだたくさん思い出作りたいって言ったのは本当だよ?」
「……おかしいよ……なんで…」
「あれは天人にやられた傷じゃない。姉が自身で絶ったんだ。」
「三蔵!言い方…」
「本当の事だろうが。」