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凜恋心【最遊記】

第13章 赤きリコリス


「昨夜の事も正直驚きました。あなたの発言にも、三蔵が同意したことも。でも、言ってる事が間違ってるとは思えなかった。しかし、あなたはどことなく三蔵に似てきました。」
「……ッッ」
「純粋すぎるところが、本当に良く似てる…それ故に時々とても危険なんです。それを見せてくれるときに限って、意思を曲げない。」

そう言いながらもそっと八戒は雅の頬を撫でた。

「八戒?」
「三蔵はずっと女性との距離を保っていました。どれだけ街一番の美人だと言われても、一枚も二枚も間に壁を作っていた。それなのに、あの日あなたに会った途端に連れていくと決めたんですよ。」
「……嘘…」
「本当です。連れていきたいと駄々をこねる悟空に、うるせぇなんて言いながらも、自身の中では連れていくことを決めていたようです。所謂いわゆるひとめぼれってのでしょうね」
「そんな…三蔵が……?」

まるで有り得ないと言わんばかりの表情を向けた雅。それもそのはず。昨夜に漸く言葉としてもらったばかり。それまで色々とあったにも関わらず、三蔵は自身の心を全く見せる隙すらなかったはずだった。

「そんなあなたがいきなり『死にに行く』と言わんばかりな事を言い出したら、どうします?本来ならすぐにでも却下と言うと思っていました。」
「……さん…ッ…ぞ…」
「あなたは自身で思ってる以上に三蔵に愛されているんです。自覚してください。」
「……」
「そして、自覚したら、もう二度と、三蔵にあんな寂しそうな顔をさせないでくださいね?」
「…八戒……」
「さっきはすみません痛かったでしょう」
「…ック…ッッ…大丈…夫」
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