第2章 旅立ち
「あの娘、おもしれぇじゃねぇの。」
「何の事だ」
「すっとぼけてんなよ。どうしようかずっと考えてたくせに」
「……チッ」
「俺はいいぜ?連れてっても。」
「俺は力がどうとかわかんねぇしな。」
「あの娘、力の使い方が解ってないだけなら八戒がいるだろうが。バカかてめぇは」
「………」
「他に言い分がなけりゃ引き取ってやれ、保護者サン☆」
「ふざけるな、あのバカどもだけで手一杯なのにまだ増やす気か」
「ほぅ?いつもはあいつら何て放っておくのにか?」
「……」
「お前が守るのはあの娘、雅だけで良いだろうが」
「確かにあのバカどもは俺が守らなくても十分だしな」
「なら良いな、決まりだ、決定、楽しくなりそうだな」
「ちょっと待て!俺はまだ承諾は…!!」
言い終わる前にもう既に菩薩の気配は消えていた。
「面倒なことになりやがった…」
そう言うと頭を抱えていた。少ししてバタバタと慌ただしく帰ってくるなり、扉は勢い良く開けられた。
「三蔵!三蔵、いる!?」
「…うるせぇよ、この猿」
「なぁ三蔵!雅の事なんとか助けてやれねぇの?」
「何だ、唐突に」
「雅、かわいそうだよ…助けてやりたいのに…」
「優しいだけの中途半端な気持ちは相手を傷つける。助けるには助ける側の方にもそれなりの覚悟が居るんだ。」
「わかんねぇよ…!」
「ガキで猿のお前にも解るように言うと、首を突っ込むなってことだ」
「ガキでも猿でも良い!助けたいと思う事の何が悪いんだよ!」
「たく…どいつもこいつも…」
「…三蔵?」
それっきり何も言わなくなった三蔵をキッと一回睨むと悟空は外に飛び出していった。