第13章 赤きリコリス
翌朝も時間の早い頃…
『何でだよ!!!!』
その声は幼い少年の声…そう、翠嵐の声だった。その声に驚いて一行も外に出てみるとそこには血だらけになって倒れ、既に息も絶えていた白明の姿だった。
「な…んで?」
「姉ちゃん!!白明姉ちゃん!」
「退いて!」
そういって雅は一生懸命に手を翳かざす。白明の体全身を包み込むようにしても息は戻らない。
「雅!もう…」
「もう何?!ダメだよ!!だって…!まだ…翠嵐とやりたいことあるって!!」
「え…?」
「お願い…!!何で?戻って…!!」
光はどんどんと強くなるものの、一向に意識が戻る気配はなかった。
「雅、やめなさい」
「八戒…でも!!」
「死者は生き返らないんです!」
「やってみなきゃ…!解らない!!」
「雅!」
パンっと軽く八戒の右手が雅の頬を捉えた。
「八戒!」
「やめとけ、悟空」
「でも三蔵!」
三蔵の制止で悟空も一旦動きが止まる悟空。悟浄は端から口を出さないで居た。そんな中でも八戒は雅に対して向き合っていた。
「もう無理です。何があっても、死んだ者は生き返らない。」
「でも…だったら何で…!昨日…あんなに…ッッ」
「雅!?」
「ハァハァ…」
息は上がり、体も火照り始めていた。