第13章 赤きリコリス
「ン…三蔵…」
「黙ってろ…あいつ等が起きたらめんどくせぇ…」
耳元で囁くと、ふわりと抱き上げ、窓の縁に雅を座らせた。
「これで目線もほぼ同じだろ」
「三蔵…?」
「フ…一度しか言わねぇから良く聞いとけ」
「え?」
「…愛してる。だからもう二度と、俺以外の元に行こうとするな。解ったか」
そう言われた雅は目に涙を溜めて今にも零れ落ちそうになっていた。
「チッ…泣いてんじゃねぇよ…」
「だって……三蔵…」
「今回みたいに自分の事大事に出来ねぇことが増えられても困るからな。その度に三蔵なら出来るとか自信ありげに言われてもこっちの身が持たねぇ」
「だからって……ッ」
「いい加減に泣き止め…」
そう言いながらもそっと馴れない手付きで三蔵は雅の涙をぬぐっていた。そしてゆっくりと下ろすと頭を撫で、『早く寝ろ…』と告げていた。
「三蔵は?」
「俺はいい」
「良くないよ……だって…」
「いいから。本来なら悟浄辺りでも落として寝てやりたいが…」
「じゃぁ…一緒に寝る?」
「断る」
「即答…フフ…」
「さっさと寝ろ。明日には食料の補充してこの村出るからな」
「解った」
そう会話さも終えて雅はベッドに入り、眠りについた。