第13章 赤きリコリス
「悟浄」
「なんだよ、三蔵」
「仕方ねぇから今だけ雅の事抱き上げるの許してやる。」
「は?」
「…つべこべ言うな。殺されないだけありがたいと思え」
そう言うと天人とは真逆に銃口を向け二発発砲させる。すると雅を巻き付けていたロープは切れた。
「落とすんじゃねぇよ?」
「ちょ…!」
そう言うと錫杖をしまい、雅の元へ行き、間一髪抱き止めた。
「作戦ってもんがねぇのかよ…」
「こるぅあぁぁあ!!!俺の飯ぃぃぃ!!」
「あいにく、うちの三蔵はあなたにあげる気はないようです」
「もちろん俺等も、な!!」
そういいながらも攻撃していくもののほとんどと言って良い程効いていない様子だった。
シュッと四人と、眠らされている雅が集まったときだ。
「だめですね…効かない。」
「おっかしいなぁ、当たってんだけど手応えがいまいち…」
「おい…たしか三蔵じゃなきゃダメなんだよな?」
「そう言ってましたが…」
「…フ…そう言うことかよ…」
「三蔵?」
そう言うと三蔵は一歩前に出ると顔の前で手を合わせた。
「三蔵?」
「黙ってろ」
そう言うとまっすぐに天人様に向かって声をかける。
「言っておくが、お前のためじゃねぇからな。」
「なぁぁにをぉぉ!!俺の飯ぃぃぃぃ!!かえせぇ!!」
「だから何度も言わせるな…テメェの飯じゃねぇっつってんだろうが…」
「なぁぁにをぉ!!」
「あれは…雅は俺の女だ」
次の瞬間だった。三蔵の双肩にかかっていた経文が光を帯びてふわりと浮かび上がる。そのまま天人様に向かってまっすぐに延びていった。
「魔界…天浄」
静かに唱えると、経文は天人様に巻き付き、そのまま倒すでも無く、ただ、浄化させていった。その光が消えた後に残ったのは、ただの暗闇と静けさだった。
「…そう言うことですか…」
「でも、三蔵全員が持ってるわけでも無いでしょうに…」
「まぁ普通の三蔵ならな。だから好き放題されてたんだろうよ」
「それはそうと…三蔵?あの言葉、雅にもちゃんといってや『ガチャ…』や、殺さねぇんじゃなかった?!」
「さっきのとこれは話が別だ」
そう話していると足元で悟空は、腹減ったと座り込んでいた。そこに村長がやってきた。