第13章 赤きリコリス
「退け」
「三蔵?」
「俺が殺る」
「うわぁ!!邪魔な奴が四匹も…俺の飯の邪魔をするなぁぁ!!」
そう言いながら天人様は雅に近付いた。
「そいつに指一本でも触れてみろ、殺すぞ」
「…こぉんな極上の香りと気を食うのはどれくらいぶりだろうなぁ」
「チッ…聞いてねぇか…」
そう呟くが早いか、三蔵は昇霊銃を構えた。そこから重音が響くまで時間はかからなかった。しかし体に似合わずとてもすばしっこい相手に三蔵の銃は命中することはなかった。
「あーらら、三蔵、腕落ちたんじゃないの?」
「あいつの後に貴様も殺す」
「ふざけてないでください」
「ま、俺等で注意引くから」
そう言って悟空と悟浄はヒュッと走りだしぶつかりに行った。残った八戒と三蔵。
「一人で抱え込まないでください、そして、冷静に。」
「言われなくても…」
「雅を…助けるんでしょ?」
「当然だ…」
肩の力が抜け、一瞬目を閉じ深呼吸をするとゆっくりと目を開ける三蔵。
『三蔵が守ってくれるでしょう?』
「当然だ…」
ポツリと誰に聞かれるでも無いまま呟くと他の三人のもとへと向かう。