第13章 赤きリコリス
「…雅…大丈夫かな…」
「…」
「さて、三蔵?どうします?」
「どうするもこうするもねぇよ」
「天人様にはやらねぇ、でいいだろ?」
「当たり前なことを聞くな」
「こりゃ…大変だぞ?」
「天人様って強いのかな…」
「さぁ、今までそんな事聞いたこともありませんからねぇ、情報量が圧倒的に少なすぎますし…」
「どうでもいい」
「三蔵?」
「あいつに…指一本触れさせねぇ」
「あーらら。三蔵サマが激オコだわ」
「これは…雅も戻ってきたら大変ですねぇ…」
「とりあえず……おや?」
「なんだ」
「…いえ…全部渡されたと思ったんですが…」
「どうかしたの?」
「あれが…ありません」
「あれって?」
「ネックレス」
そういう八戒の言葉に三蔵は顔を少し臥せって、くっと一つ、笑みをこぼした。
「あの…バカが」
「なにか言いました?」
「…なんでもねぇよ」
そう話している時だった。コンコンとノックをする音がした。
「はい?……て、おや」
「あの…」
「どうしたの?」
「ごめんなさい…僕の…せいで…」
「何もテメェのせいじゃないだろうが。決めたのは雅自身だ」
「天人様の事、僕が知ってることって少ないんだけど…うち、おじいちゃんが村長だから色んな事聞けるんだ…」
「それはどういう?」
「天人様って…人の生気を吸うんだって…切ったりそういうことはしないんだけど…僕がまだ小さいから吸い方とかは良くわからないし教えてくれないんだけど…それで生気吸われて空っぽになると、足とか手とか…その時の気分で違うみたいなんだけど…でも、掲げられた所に必ず頭は残ってるって…」
「……なるほど…」
「ごめんなさい…あんまり役に立てなくて…」
「もういい…夜も遅くなるし、さっさとガキは寝ろ」
そう三蔵に言われて部屋を出ていった翠嵐。八戒は扉がしまるのを確認して口を開いた。